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先日、近畿選抜に選ばれている中学生のラグビー選手の親御さんから、

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お客様

速く走るためにはどうすればいいでしょうか?つま先で走れば速いと聞きましたが、いまいち息子がしっくりきてなくて…

というご相談を受けました。

実際に動作を見てみると、つま先で走るということを意識した走り方になっており、全体の動きが非常に硬くなっていました。

速く走るために最も重要なのは、

リラックスして、全体の動きがスムーズであること

です。

結果的につま先で走るような形になれば問題ありませんが、意識的につま先で走ろうとすると逆に遅くなる可能性があります。

この記事では、

・本当に速い?つま先で走ると遅くなる原因
・速く走るための4つの方法

などを、パーソナルトレーナー歴12年の伊藤出(@izuru_style)が解説します。

 

本当に速い?つま先で走ると遅くなる原因

今回ご相談を受けた中学生の走り方をチェックしたり話を聞いていると、以下のようなことが原因で速く走れていない可能性がありました。

・つま先で地面を蹴る意識を持っている
・つま先で地面を突くように着地する
・膝を高く上げる意識を持っている
・肘を後方に引く意識を持っている

それぞれ詳しく解説しますね。

つま先で地面を蹴る意識を持っている

まず問題だったのが、

つま先で地面を蹴る意識を持っている

ということです。

これはコーチに、

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コーチ

つま先で地面を蹴れば速く走れるから、地面を強く蹴れ!

という指導を受け、そこからつま先で地面を蹴るような意識を持って走っているそうです。

こういう意識で走るスポーツ選手をよくみかけますが、実はあまり速く走れません。地面を蹴ることで、蹴った側の脚が身体の後方で跳ね上がります。

身体の後方で片脚が跳ね上がる

そうすると、作用反作用の関係で身体が前側に倒れてしまうんですね。

身体が前側に倒れる

そうすると、前に出てくる脚が地面を突くような着地となって減速します。これが続くことで、最大スピードが発揮できないため速く走れなくなります。

選手の走り方を見ていても、脚が身体の後方へいったときの硬さやぎこちなさが目立っており、これが速く走れない原因となっていました。

つま先で地面を突くように着地する

続いて問題だったのが、

つま先で地面を突くように着地する

ということです。

これは上記でお伝えしたことと被りますが、踵をつけないようにつま先で走るという意識を強く持っていたため、こういう走り方になっているように見えました。

つま先で地面を突くように着地

ここは少し微妙な問題で、

・結果的につま先走りになるのはOK
・意識的につま先走りをするのはNG

なんですね。

速く走ろうと思うと、足裏全体で真下に踏み込む感覚で走ることが重要で、この感覚で走るとストライドが大きくなり速く走れます。

足裏全体で真下に踏み込む

ただ最大スピードに近づくにつれ、脚の回転速度が速くなって足裏全体では踏み込めなくなり、結果的につま先で走っているような状態になるんですね。

つま先で走る

ただ感覚としては真下に踏み込むように走り続けているため、こういう意識でつま先走りになっても減速せず、スムーズに走ることができます。

ご相談頂いた選手の場合は、意図的につま先走りをしていました。そうすると、地面を突くような着地で減速するため速く走りづらくなるわけです。

ですので、意識的につま先走りをするのも速く走れない1つの原因の可能性があります。

膝を高く上げる意識を持っている

さらに問題だったのは、

膝を高く上げる方が速く走れる

という指導を受けていたことです。これも学校などで、こういう指導を受ける選手が多いかもしれません。実はこれも速く走れなくなる原因です。

世界陸上の短距離選手を見てみるとわかりますが、基本的に膝が股関節よりも高い位置に上がっていません。膝は前に出ている状態です。

もし膝を高く上げようと思うと、股関節の動きが硬くなってしまい、これも減速してしまうんですね。

膝を高く上げて走る

ご相談を受けた選手の走り方も、どこか膝を上げよう上げようとしている感じもあり、これも速く走れない原因となっていました。

速く走るためには、膝を前に出すように走ること。

膝を前に出して走る

そうするとスムーズに加速されることが体感できますし、実際に選手にご指導すると、

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お客様

膝を前に出す感覚で走ると、前に引っ張られるようにスッと走りやすくなります。

と言われていました。

ですので、膝を高く上げることも実は走りが遅くなってしまう可能性があります。

肘を後方に引く意識を持っている

あともう1つ速く走れない原因になっていたのは、

肘を後方に引く意識を持っている

ということです。

僕も学生の頃、よく肘を引いて走れと指導を受けました。

肘を後方に引くように走る

走るときは前に進みますが、肘を後方に引くと減速してしまいます。速く走るためには、基本的に前に腕を振り出すこと。

腕を前に振り出すように出す

短距離の場合は、腕は前方への推進力を得る道具として活用するため、後方ではなく前に振り出すことが重要です。

この違いで加速力は全然変わってくるため、実践していただくとすぐに変化を実感できると思います。ここまでお伝えしたように、

・つま先で地面を蹴る意識を持っている
・つま先で地面を突くように着地する
・膝を高く上げる意識を持っている
・肘を後方に引く意識を持っている

などが原因で速く走れなくなっていた可能性がありました。

逆の言い方をすると、

・真下に地面を踏み込む感覚を掴む
・膝を前に出すように走る
・腕を前に振り出して走る

などのことができると、今よりも確実に速く走れるようになるということが見えてきました。

続いては、実際に現場でご指導したことも含めて、速く走るためのポイントなどをお伝えします。

 

速く走るための方法①:真下に踏み込んで反力をもらう

まず最初にご指導したのは、

足裏全体で真下に踏み込む感覚を掴む

ということです。

以前人間の形をした重い人形で行われた実験で、ある高さから真下に人形を落としたところ、斜め前方に飛び上がったそうです。

この実験結果より、人は真下に踏み込むことで斜め前方に飛び上がり、真下に踏み込むように走ればそれだけストライドが大きくなるということがわかりました。

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ですのでまず最初に、踝真下の位置で地面を踏み込む感覚を掴んでもらえるようにご指導していきました。

速く走りたい方は、以下の位置で地面を踏み込むようにしてみてください。

その上で、以下の手順を行っていきます。

1、踝真下で連続ジャンプ

1、脚を腰幅ぐらいに開く
2、体重を踝真下に乗せる
3、その場で連続ジャンプを繰り返し、踝真下で弾む
4、これを踝真下で確実に着地できるまで繰り返す

2、身体の後方で膝を曲げる

1、脚を腰幅ぐらいに開く
2、体重を踝真下に乗せる
3、その場で駆け足を行い、身体の後方で膝を交互に曲げる
4、確実に踝真下で着地できるまで繰り返す

3、膝を前に出しながら膝を曲げる

1、脚を腰幅ぐらいに開く
2、体重を踝真下に乗せる
3、その場で駆け足を行い、膝を前に出して交互に曲げる
4、確実に踝真下で着地できるまで繰り返す

4、その場でスキップ

1、脚を腰幅ぐらいに開く
2、体重を踝真下に乗せる
3、その場でスキップを行い、踝真下で地面を踏み込む
4、反力で弾む感覚をつかむまで繰り返す

この他にもいろんなことをして真下に踏み込む感覚をインプットしましたが、これらが終わった時点で、

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こんなに身体が弾んだ感覚は今までになかったです。なんか…すごい不思議な感覚です。

と言われていました。

 

速く走るための方法②:膝をまっすぐ前に出す

続いて行ったのは、

膝をまっすぐ出す動作を繰り返す

ということです。

選手の走る動作を見ていると、膝がまっすぐではなく若干がに股状態で動く癖が見られました。

膝ががに股状態

こういう膝の動きをしてしまうと、どうしても重心が左右にブレてロスにつながるんですね。まっすぐ膝が出せた方が、速く走れます。

ですので、ここからは膝がまっすぐスムーズに出るように修正を行っていきます。

1、ゆっくり確実に膝をまっすぐ動かす

1、脚を腰幅ぐらいに開く
2、膝を交互にまっすぐ出してその場で歩く
3、これを確実に行えるまで繰り返す

2、ジョギングの速さで膝をまっすぐ動かす

1、脚を腰幅ぐらいに開く
2、膝を交互にまっすぐ出してその場でジョギング
3、これを確実に行えるまで繰り返す

3、最大スピードで膝をまっすぐ動かす

1、脚を腰幅ぐらいに開く
2、膝を交互にまっすぐ出してその場で走る
3、これを確実に行えるまで繰り返す

これらが確実にできたら、そこから重心移動で進める感覚を掴んでいきました。

 

速く走るための方法③:重心移動で走る感覚を掴む

選手の感覚としては、

つま先で地面を蹴らないと、前に進めない

というのが指導前の状態でした。

走り方をスムーズにするためにも、ここからお伝えする内容は重要です。人の身体は重心を運んだところに自然に動くため、地面を蹴らなくても前に進めます。

実際に現場でご指導したことは、以下の通りです。

1、重心を1~2cm前に移動させる

1、足を腰幅ぐらいに開く
2、その場で駆け足を行う
3、頭を1~2cm前に運ぶように重心を移動させる
4、そのまま駆け足を行い、前に進んでいく

2、重心を1~2cm移動+止まる

1、足を腰幅ぐらいに開く
2、その場で駆け足を行う
3、頭を1~2cm前に運ぶように重心を移動させる
4、そのまま駆け足を行い、前に進んでいく
5、1m進んだら止まり、再度重心を1~2cm前に運ぶ
6、これを10回ほど繰り返す

3、重心を前に移動させて自然に走る

1、足を腰幅ぐらいに開く
2、その場で駆け足を行う
3、頭を前に運び、重心を移動させて走り出す
4、これを重心移動で走れることが掴めるまで繰り返す

現場ではもっと細かいステップを踏んでご指導しましたが、こういった流れで重心を前に運ぶだけで自然に前に進める感覚をインプットしていくんですね。

そして、重心移動で走れたら「膝を前に、前に…」という感覚で走れば、どんどん前に進む感覚がわかってきます。

これが体感できると、かなり気持ちよく走ることができますし、全力で走っても疲れません。選手もこの動作を指導した後は、

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前に勝手に引っ張られる感じがあって、今までよりもかなり速く走れます。

と言われていました。

 

速く走るための方法④:腕を前に振り出す

そして上記の流れができたので、最後は腕の動きを修正していきました。

腕の動きは基本的に前に振り出すように使います。

腕を前に振り出すように出す

ただいきなり言ってもわかりづらいので、以下のステップで腕振りを改善していきました。

1、胸の前から腕を交互に落とす

1、胸の前で手をあわせる
2、腕を交互に落とし、前後に気持ちよくスイングする
3、これを1分間ほど繰り返す

2、腕を前に振り出す

1、胸の前で腕を交互にスイングする
2、リラックスして腕を軽く前に振り出す
3、感覚がつかめるまで繰り返す

ここは感覚的な部分も大きく関与するため、実際に腕振りをしてリラックスして腕が前に振り出せればOKです。

あとはその感覚を走っているときにも実践すれば、腕を振り出すたびに前にグンッ、グンッ、と進んでいける感覚がわかってきます。

ここまでお伝えした一連の流れをうまく実践できると、最後にまとめて短距離を走ってみてください。そうすると、つま先で地面を蹴らなくても今までより速く走れるはずです。

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実際の現場ではこういったご指導をし、つま先走りを意識しなくても速く改善できたというわけです。

 

本当に速い?つま先で走ると遅くなる原因と速く走る4つの方法のまとめ

今回は、本当に速い?つま先で走ると遅くなる原因と速く走る4つの方法について解説しました。今回の内容をまとめると、

・意識的につま先で走ると、逆に遅くなる
・結果的につま先で走るように見えるのはOK
・膝を高く上げる、肘を引く動作は速く走れなくなる
・まずは、踝真下で地面を踏み込む感覚を掴む
・膝をまっすぐ出し、重心移動の感覚を掴む
・あとは、腕を前に振り出せば速く走れる

こういった内容をお伝えしました。

僕は学生の頃野球をしており、脚も速い選手でした。それでも上記のような走り方の改善を行えば、さらに速く走れたんですね。

ですので、走り方に問題がある選手はほとんどの場合今よりも速く走れるようになります。大切なことは、リラックスしてスムーズに動くこと。

そうするとパフォーマンスが高まり、選手としてのレベルも上げることができます。今回の内容が高いレベルでスポーツを行いたい選手・親御さんの参考になれば嬉しく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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今回お伝えした内容は、パーソナルのセッションだとより確実に改善可能です。もしご自身で改善が難しい場合は、お気軽にご相談ください。

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