バッティングをしていると、なぜかタイミングが合わない。投手ではタイミングがとりやすいけど、マシンだと全然。この感覚に陥るのには理由があります。
この理由を理解し、目的に合った練習や改善方法を実施する。そうすると、今からでも十分タイミングの取り方がうまい選手に変わることができます。
タイミングの取り方は1つのパターンだけでなく、複数のパターンを経験すること。それがより良いバッティングをするためには重要になります。
この記事では、
・バッティング時にタイミングが合わない原因
・バッティング時のタイミングの取り方を改善する4つの方法
などを、パーソナルトレーナー歴12年の伊藤出(@izuru_style)が解説します。
今回の記事の内容
バッティング時にタイミングが合わない原因
現場で野球選手の指導をしていますが、以下のような原因でタイミングが合わないことがよくあります。
・一生懸命ボールを見すぎ
・目が慣れていない
・足元の環境が悪い
・タイミングの取り方を練習していない
・マシンとの相性が悪い
それぞれ解説していきますね。
一生懸命ボールを見すぎ
まず考えられるのが、
一生懸命ボールを見ようとしすぎ
ということ。
僕も現役のときよく指導者に、
もっとボールを見て打て!バットとボールが当たるところまでしっかり見れば打てるから!
と言われた記憶があるんですね。みなさんも、言われたことないですか?これって実は、タイミングがずれるもと。
ボールを一生懸命見ようとすると、
・目の筋肉が緊張する
・目の筋肉は、首の筋肉とつながっている
・首の筋肉も緊張して、上半身の動きが硬くなる
・動きが硬くなると、動作そのものが遅くなる
こういったことが起こってしまう。
実際に、以下の2つの動作を比べてもらうとよくわかると思います。
・目を見開いて、1点をみながら頭を左右に速く動かす
・ボーっと正面を見たまま、頭を左右に速く動かす
目をグッと見開いた時点で、頭や首周辺がグッと力む感覚ってないですか?
逆にボーっと前を向いた状態だと、頭や首周りはリラックスしている。
人間の身体は全身が連動しているため、目を見開くとスイング動作が硬くなる。その結果、パフォーマンスも下がる可能性があるんですね。
このように、ボールを一生懸命見すぎることで身体が緊張し、その緊張によってタイミングを合わなくなる可能性があります。
目が慣れていない
続いて考えられるのは、
球速に目が慣れていない
ということ。いわゆるハンド-アイ(動体視力)の問題ですね。
例えば自分の中で、120km/hの球速が丁度いいぐらいに打てる感覚がある。だけど、周りが130km/で打っているから130km/hで打ってみる。
そうすると目が慣れていないため、タイミングが上手くとれないということが起こってしまう。これは後程詳しく解説しますが、
タイミングを合わせるためには、動体視力を考慮して、徐々に球速を上げていくことが重要
なんですね。
いきなり球速を上げ過ぎると、タイミングが全く合わず全体のバランスを崩してしまう可能性もある。
こういった動体視力の問題や、徐々に球速を上げていけてないということも原因の1つ。
足元の環境が悪い
続いて考えられるのは、
足元の環境が悪く、軸足に体重を乗せた時に不安定
ということ。
「足元の環境」というのはいろんな意味合いがあって、
・軸足に体重を乗せたとき、うまく立てていない
・体重を乗せる支持ポイントがまずい
・地面がボコボコで安定して立ててない
・足元に意識を向けすぎて、足首が緊張している
など。
本来自然な状態で立てると、こんな感じで足裏全体で体重を支持するはず。
でも上記のような原因で足元がふらつくと、適切に立てなくなる。そうすると、体重移動などが不自然になって、タイミングがとりづらくなるんですね。
こういった足元の環境の悪さも、タイミングがうまくとれないことに関係しています。
タイミングの取り方を練習していない
続いて考えられるのは、
タイミングの取り方を練習していない
ということ。野球選手の中には、いろんな球種に対して器用にタイミングを合わせられる選手もいます。
ただ、うまくタイミングが合わせられない選手の場合、タイミングの取り方を練習しておく必要があるんですね。
別の言い方をすれば、
いろんなタイミングの取り方を身体に経験させておく
ことが重要。
何も考えずスイングをしていれば、シンプルに「1・2」のリズムでバットを振ってしまう。このリズムだけでスイングしていれば、それ以外のタイミングでボールが来たときに対応ができない。
こういったタイミングの取り方の練習不足や、経験不足によってタイミングが合わないことも考えられます。
マシンと相性が悪い
そしてもう1つ考えられるのは、
マシンとの相性が悪い
ということ。これに該当する選手って、意外と多いですよ。
現場で指導していると、
・マシンバッティングはタイミングが合わない
・投手が投げるとタイミングが合ってよく打つ
という選手がいます。
チーム内を見ていると、1人はこういう選手がいるはず。マシンでは全然打たないけど、試合ではよく打つみたいな。
これって、マシンにあわせてタイミングをとるのが苦手という特徴があり、こういう選手はマシンバッティングに限ってタイミングが合いづらい。こういった原因も考えられます。
このように、
・一生懸命ボールを見すぎ
・目が慣れていない
・足元の環境が悪い
・タイミングの取り方を練習していない
・マシンと相性が悪い
などが原因でタイミングが合っていない。逆の言い方をすれば、
・適当にボールを見る
・徐々に球速を上げ、目を慣らしていく
・足元の環境を整える
・タイミングの取り方を練習する
・できるだけ投手に投げてもらう
などができると、適切なタイミングでバッティングができるようになります。
では具体的に、どのようなことをすればタイミングの取り方がうまくなるのでしょうか?
バッティング時のタイミングの取り方を改善する方法①:足元の環境を整える
まず最初に行ってほしいのは、
足元の環境を整える
こと。
ポイントは、
・足場を平らにならす
・フラット着地を理解し、踝の真下に体重を乗せる
・軸足で適切に立てるようにバランス能力を向上させる
こういった手順で、軸足で適切に立てるようにすること。
この足元の環境や体重支持ポイントなどの考え方は、「野球の打ち方やバッティングのコツをトレーナーが4ステップで解説」でまとめているので、こちらをご覧ください。
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バッティング時のタイミングの取り方を改善する方法②:ハンド-アイ
続いては、目の問題を改善していきましょう。
適当に見るボールを見る
先ほどもお伝えした通り、ボールを見るときに目を見開くように集中してしまうと緊張するんですね。
バッターバックスから投手などを見るときは、一点をグッと見つめるよりも、なんとなくボーっと全体の風景を見るようにします。
そうするとリラックスでき、筋肉の力みによって始動が遅れることも防げるので、タイミングがとりやすくなるんですね。
ですので、バッターボックスからは、
リラックスして、適当に投手を見る
ようにしましょう。
徐々に球速を上げる
さらに、バッティングをするときに気をつけたいのは、
徐々に球速を上げ、自分のフォームが崩れない球速で打つ
ということ。
イメージ的には、
・90km/h → 打てたから100km/hへ
・100km/h → 打てたから110km/hへ
・110km/h → 打てたから120km/hへ
・120km/h → 打てたから130km/hへ
という感じで、徐々に球速を上げて打つ。
そうすると、それぞれの球速でのタイミングもとりやすくなり、フォームも崩れないためのでバッティングも向上しやすい。
タイミングが合わない球速が課題になる
こうやって球速を上げていくと、125km/hでは打てるけど、「130km/hだとタイミングが合わない」という点が出てくるはず。
この選手の場合は、130km/hが現在の課題点となるため、125~130km/h辺りの球速で日頃バッティング練習をするようにするんですね。そうすると、130km/hもスムーズに打てるようになる。
ただ、気をつけないといけないのは、
いきなり130km/h以上の球速で打ってしまう
ということ。基本的には、打てると思います。ただ、ステップアップしていない中で打ってしまうと、
・手打ちになる
・合わせたようなバッティングしかできない
・タイミングが合っていない
ということが起こり、誤魔化しただけのバッティングになりがち。
タイミングもそうですが、バッティングを向上させる上で大切ことは、
・適切にできた
・適切にできた
・適切にできた…
という感覚を積み重ねて、レベルアップしていくこと。こういった積み重ねができると、タイミングをとるのもうまくなりますし、バッティングも変わっていくんですね。
こういったステップアップは意外と無視されがちなので、タイミングが合っているという“フィーリング”も大切にしてほしいですね。
バッティング時のタイミングの取り方を改善する方法③:いくつものパターンを経験する
続いてぜひ取り入れてほしい練習で、
いろんなパターンのタイミングを経験させる
という方法があります。
人間の身体は基本的に、日頃から経験していないことは咄嗟にできません。
逆に言えば、
いろんなパターンのタイミングの取り方を経験しておくと、タイミングの取り方がうまくなる
んですね。
ですので、いろんなパターンのタイミングの取り方を練習しておけば、今よりもタイミングを合わすのがうまくなれますよ。
具体的な方法としては、以下の通り。
1→スイング
1、普段通りにバットを構える
2、軸に脚に体重を乗せ、1でスイングする
1→2→スイング
1、普段通りにバットを構える
2、軸に脚に体重を乗せ、1→2でスイングする
1→2→3→スイング
1、普段通りにバットを構える
2、軸に脚に体重を乗せ、1→2→3でスイングする
1→グー→スイング
1、普段通りにバットを構える
2、軸に脚に体重を乗せ、1→グー→でスイングする
これらは一例で、試合で想定できるタイミングの取り方をいくつも経験しておく。
そうすると、タイミングの合わせ方がうまくなるというわけですね。
ここのバリエーションが多ければタイミングの取り方もうまくなるので、自分なりにいろいろ考えて実践すると効果的ですよ。
バッティング時のタイミングの取り方を改善する方法④:投手でバッティングをする
そしてもう1つの改善方法は、
マシンではなく、できるだけ投手でバッティング練習を行う
ということ。
チーム練習としては致し方ない部分もありますが、マシンでタイミングが合わない選手は、それを続けてもフォームを崩してしまう。
どうしてもタイミングが合わせられない選手もいるので、そういう場合は人に投げてもらって練習するのが解決策。こういったパターンも存在するので、無理にマシンで練習しないようにしてほしいですね。
バッティング時にタイミングが合わない原因と4つの改善方法のまとめ
今回は、バッティング時にタイミングが合わない原因と4つの改善方法を解説しました。
・タイミングが合わない原因は、一生懸命ボールを見すぎ
・その他には、足元の環境が悪い、タイミングの取り方の練習をしていないなどがある
・タイミングをうまくとるためには、まず足元の環境を整えること
・さらに、球速を徐々に上げてバッティングを行う
・さまざまなパターンのタイミングの取り方を経験すること
・マシンが苦手な選手は、投手に投げてもらってバッティングを行う
タイミングって、センスや先天的な問題だけではありません。当然、練習をすれば改善可能。
僕もトレーナーになってから実践することで、現役のときよりもいろんな球種に対応できるようになりました。
わりと早い段階で改善がみられるので、上記でお伝えした内容を参考に改善に取り組んでほしいなと思います。今回は以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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