ランニングの着地は「つま先」or「かかと」どっち?こういった質問を現場でも受けますが、結論から言えば「かかと」がベース。
ただランニングスピードによっては、つま先で着地するように見える局面があるんですね。この辺りを理解して実践できると、今抱える悩みも根本改善できるはず。
ランニング後に痛みが発生する方も、「フラット着地」「べた足」を習得すれば、痛みの根本改善ができるんですね。
この記事では、
・ランニングの着地はつま先 or かかと?
・ランニングの着地を改善する方法
などを、パーソナルトレーナー歴12年の伊藤出(@izuru_style)が解説します。
今回の記事の内容
ランニングの着地はつま先 or かかと?
冒頭でもお伝えしましたが、ランニングの着地は、
基本的に、かかと(足裏全体)で行うことがベース
です。
「かかと」というのは、丁度踝の真下の位置。
「踝真下」の位置で着地する理由は、大きく分けると2つ。
・着地の際に受ける衝撃が、脚や体幹に分散される
・減速しにくく、タイムロスを減らせる
まずは、衝撃との関係から解説しますね。
フラット着地=地面からの衝撃を分散できる
ランニングで着地をしたとき、
地面から受ける衝撃は「体重の約4~5倍」
と言われています。
かなり大きな衝撃を片足で受けますが、「踝真下」の位置(かかと)で着地することで、地面から受ける衝撃を脚や体幹に“分散”できます。
ただ、
・つま先
・親指の付け根
・足裏の後方(かかと)
などの部分から着地をすると、大きな衝撃が脚の局部にかかってしまうんですね。
ペットボトルで表現するとわかりやすくて、ペットボトルの底全体を地面にたたきつけると…
大きな力で叩いても凹みません。
これは衝撃が分散されたです。「踝真下」で着地をすると、この状態になるんですね。
ただ、同じ力でペットボトルの角を地面にたたきつけると…
こんな感じで、最もストレスを受けた部位が凹んでしまう。
人間の身体の場合、この衝撃が加わり続けた部位に痛みが出るわけです。こういった痛みを発生させないためにも、つま先ではなくかかとで着地する必要があるんですね。
ちなみに、着地位置と痛みの発生部位は以下のような関係があります。
・つま先着地
→ふくらはぎ、アキレス腱、すね、膝の前側など
・親指の付け根着地
→膝や太ももの内側、ふくらはぎの内側、足首の内側など
・小指の付け根着地
→膝や太ももの外側、ふくらはぎの外側、足首の外側など
・かかとの後方着地
→ハムストリングス、膝裏、お尻など
こういう痛みに悩む方は、踝真下で着地をすると以下の4つのアーチを適切に活用でき、痛みの改善につながります。
足部には、
・内側縦弓
・外側縦弓
・中足骨弓
・横弓
などの4つのアーチがあります。このアーチが衝撃を緩和する働きをしているんですね。
足に体重がかかっていない状態であれば、以下の手のような適度な膨らみがあります。
ここに体重がかかることで、アーチが全体的にへしゃげる。この作用によって、地面から受ける衝撃を緩和しているわけです。
この衝撃緩和作用を適切に働かせるためには、赤い丸の位置で着地すること。
そうすると脚などにかかるストレスが軽減され、結果的に痛みの改善になるというわけなんですね。
ですので、ランニングで発生する痛みを予防・改善するという視点から見れば、
ランニングでの着地は「かかと」(足裏全体&フラット着地)がベースになる
ということです。
フラット着地=減速もしづらくなる
ランニングスピードを維持する上でも、かかと(フラット)着地は非常に重要になってきます。
例えば「つま先」で地面を突くように着地してしまうと、地面との摩擦が大きくなって減速してしまう。
長距離になればなるほど、タイムロスにつながるんですね。
かかと(フラット)着地だと、地面との摩擦が少なくなり、余計なブレーキがかからなくなります。
ですので、タイムを求める長距離ランナーなどもかかと(フラット)着地がベースになるわけです。
スピードが上がるとフラット着地から変わる
ただ世界陸上などを見ていると、フラット着地ではなく、つま先付近で着地しているランナーをみかけませんか?
これを見ると「つま先着地の方が正しいのでは?」と思いますよね。
ここで押さえておきたいのは、
スピードが上がるとかかと(フラット)着地が間に合わず、自然につま先での着地に変わる
ということ。
ランニングスピードが上がると、脚の回転は速くなりますよね。トップスピードで脚が回転したとき、その速度でかかと(フラット)着地をしようと思うと、どうしても動作にブレーキがかかって減速してしまうんですね。
ですので、ランニングスピードが速い場合は、
自然とかかと(フラット)着地から、つま先着地へと変わっていく
わけです。
最初からつま先着地はNG
ただここで気をつけたいことは、
最初から「つま先着地」を意識するのはNG
ということ。
上記でお伝えしたように、意識的につま先着地を繰り返すと「ふくらはぎ」や「前もも」などへのストレスが非常に大きくなってしまう。さらに、減速もしてしまう。
感覚としては、
・かかと(フラット)着地で走る
・ランニングスピードが上がる
・つま先着地に変わる
というイメージで、着地が“自然に”変わるのが理想です。
実践するときは、踝真下で着地するイメージで走っていると、自然とつま先着地に変わっていきます。
そうすると脚にかかるストレスも最小限になりつつ、タイムロスも小さくて済む。
ですので、ここまでのことを一旦整理すると、
・ランニングの着地は、基本的にはかかと(フラット)着地
・ランニングスピードが上がれば、自然とつま先着地に変わる
ということです。
では具体的に、かかと(フラット)着地をするためにはどうすればいいのでしょうか?
ランニングの着地を改善する方法①: 体重支持ポイントを理解する
上記でお伝えした「かかと」で着地をするためには、まずは立った状態でこの位置をインプットしておきましょう。
そのためには、以下の手順で椅子からの立ち上がりを行っていきます。
踝真下で立つ感覚を掴む方法
1、椅子に座って、軽くへそを前に突き出す
2、脚を肩幅に開き、つま先も軽く開く
3、顔や胸を前に送るようにお辞儀をする
4、椅子からお尻を浮かせ、踝の真下に体重を乗せる
5、踝真下に意識を向け、まっすぐ立ち上がる
6、軽い出っ尻状態で立つ
この手順で立ち上がると、
・かかと(踝の真下)に体重が乗っている
・足裏全体で立てている
などの感覚が出るようになります。
細かい感覚で言えば、脚のどこにも力みがなく、骨で立っているような感じがあれば適切です。この感覚が出た方は、次のステップに移っていきましょう。
ランニングの着地を改善する方法②: その場ジャンプ→ジャンプストップを行う
立った状態で「かかと」の感覚が掴めると、次はそのポイントで着地できるようにインプットしていきます。
具体的な方法で言えば、
①その場で両足ジャンプストップ
②その場で片足ジャンプストップ
③その場で交互ジャンプストップ
④10cm進みながらジャンプストップ(両足)
⑤10cm進みながらジャンプストップ(片足)
⑥10cm進みながらジャンプストップ(両足)
といったイメージで、ステップアップをしてその場ジャンプからランニングの着地へとつなげていくんですね。
この具体的な方法は以下の記事内で紹介しているので、こちらを参考に実践してみてください。
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ランニングの着地を改善する方法③:ランニング動作へとつなげる
ここまでの流れで、かかとでの着地で走れる“準備”ができました。
あとはランニング動作につなげていく段階になりますが、この走り方も自然な動作ができるようにポイントをおさえておく必要があるんですね。
走り方については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらを参考に実践してみてください。
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ここまでの流れができると、上記でお伝えした「かかと着地」が実践でき、痛みやパフォーマンス向上につなげることができるというわけです。
ランニングの着地はつま先 or かかと?のまとめ
今回は、ランニングの着地はつま先 or かかと?について解説しました。
・ランニングの着地は、基本的には「かかと着地」
・ただランニングスピードが上がると、「つま先着地」になる
・最初から「つま先着地」にすると、痛みやタイムロスにつながる
・習得の手順は、まずその場で踝真下で立つ感覚を掴む
・その後にジャンプストップなどを行う
・そして、ランニング動作につなげる
ランニング後に痛みを感じる方の場合、ほとんどがこの着地に問題があります。着地を自然な状態に直すことで、痛みも改善できる。
ただ上記でお伝えしたことを実践するのは、思った以上に難しさを感じると思います。その中で、より適切なことを繰り返し行う。
そうすると、痛みも根本的に改善しますし、パフォーマンスが向上することも実感できます。ぜひ今回の内容が、今抱える悩みを解決できる内容であれば嬉しく思います。今回は以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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