腰痛改善を目的としてセッションを受けられる方もいますが、5日ほど前に知人から「腰痛が全然改善しないのでみてほしい。」と相談を受けました。
知人も含めて腰痛で悩んでいるクライアントさんからお話を伺っていると、
・病院で治療を受けたけど、全然痛みが引かない
・ジムで筋トレしてるけど、改善が見られない
ということをお聞きします。
今回相談を受けたのは40代の男性ですが、この方も病院でジムでの筋トレを勧められたため、約1年間ぐらいジムに通い続けたそうです。
でも結果は思わしくない。このクライアントさんの改善ポイントは、
全身を整え、歩くときの姿勢を改善すること
でした。根本的な原因を取り除くことで、1年間悩み続けていた腰痛が1日でも改善が見られたんですね。
まだ改善すべきポイントは残っていますが、今ジムで筋トレを頑張っている方は、まず全身の筋肉を緩めることがポイントです。その上で姿勢や歩き方を改善する。
この流れが腰痛(椎間板ヘルニア)の改善に必要になるはずです。
この記事では、
・本当にジムで筋トレが必要?腰痛(椎間板ヘルニア)の原因
・ジムでの筋トレ以外で腰痛(椎間板ヘルニア)を改善する4つの方法
などを、パーソナルトレーナー歴12年の伊藤出(@izuru_style)が解説します。
今回の記事の内容
本当にジムで筋トレが必要?腰痛(椎間板ヘルニア)の原因
今回ご相談を受けた40代男性のカウンセリング内容をまとめると、以下のことが見えてきました。
・約1年前に腰痛が発生した
・病院で椎間板ヘルニアと診断された
・医師から筋力不足なのでジムでの筋トレを勧められる
・1年間筋トレをしたが改善しない
・整体や整骨院にも通ったが、改善は一時的
・長時間椅子に座ったり歩いたりすると腰痛がひどくなる
この他にもさまざまなことをお聞きしていますが、ざっとまとめるとこんな感じでした。
最初に姿勢のチェックをしましたが、全身に捻じれや歪みなど、崩れている箇所が多くみられました。
姿勢の崩れをざっくりお伝えすると、
・身体全体が右側に歪んでいる
・出っ尻状態で、へそを突き出している
こういったイメージです。
腰の痛み自体は、大体腰の真ん中あたりに出ているそうです。
実は僕も高校生のときに椎間板ヘルニアと診断されていますが、高校生以降は特に腰痛が出ることはありません。
ですので、椎間板ヘルニアと診断されたとしても他の要因で腰が痛くなる可能性があり、その原因を取り除くことが重要になります。
ここからは、クライアントさんの腰痛が発生していた原因を詳しくお伝えします。
長時間椅子に座って腰痛が悪化
約1年前に腰痛が発生していますが、年明け位から腰痛がひどくなったそうです。
このとき長時間デスクワークをする仕事が増え、腰痛が発生しないように「いい姿勢を心掛けていた」そうなんですね。実はこれが腰痛を悪化させる原因でした。
人間が自然な状態で座れると、大体こういった姿勢になります。
こういう姿勢であれば、上半身の重みは坐骨(お尻の下に感じる骨)に抜けるため、過度に腰にストレスがかかることはありません。
ただクライアントさんの場合、みぞおちを突き出すに腰を反らしており、この姿勢を長時間とり続けることで腰痛が発生。
ある意味当然の結果で、腰を反らして腰の筋肉にストレスをかけ続けてしまったので、痛みが発生してしまったというわけです。
実際に上記でお伝えしたような自然な座り方に改善すると、
あれ?全然痛くないし楽ですね。こんな楽に座って大丈夫なんですか?
と言われていました。
医師から筋力が弱いと言われていたため、常に鍛えた方がいいと思い込んでいた部分もあったそうで、負担を感じながらも腰を反らす座り方をやめられなかったそうです。
腰を反って歩く癖がある
さらに問題だったのは、
腰を反らしながら歩く癖
です。
これは座り方の癖が反映されている部分もありますが、着地の際に恐怖心が常にあるそうです。
・腰痛がひどくなったらどうしよう
・片脚で踏ん張るのが怖い
・ピキッ刺すような痛みが出るのが怖い
など、感情的にはマイナス状態。
僕も腰痛で歩くのが怖いときがあったのでわかりますが、着地をそうっとするというか、グッと踏み込めないんですね。そうすると、こういった歩き方になってしまいます。
自然と肩の位置が後方に引かれ、身体をこわばらせながらちょこちょこと歩く。その結果、腰へのストレスが増してしまいます。
クライアントさんが感じる痛みへの恐怖心を取り除きながら歩き方を改善したんですね。指導前は、こんな感じでした。
ただ改善後の歩き方は、こういったイメージで歩けるようになりました。
まだ恐怖心が完全に取り切れていませんが、歩き方を改善することで、
めっちゃ腰が楽です。うわ~今までの歩き方がまずかったのかぁ…。全然腰に痛みが出ないです。
と言われていました。
こういった歩くときの姿勢や歩き方に問題があれば、それが腰痛の原因になる可能性もあります。
痛みの記憶が脳に定着している
もう1つ気になったのは、先ほども触れていますが、
痛みの記憶が脳に強く定着している
ということです。
1年前に腰痛が発生してから、何度か腰を刺すような痛みを経験されているんですね。
・また腰に激痛が出るのではないか
・痛みから解放されないんじゃ…
・歩けなくなったらどうしよう
・椅子から立ち上がるときが怖い
など、常に痛みに怯えながら生活している状態だったそうです。
実際に姿勢のチェックで身体を揺らそうと思っても、全く揺れないほど全身を緊張させていました。痛みが出ないので、一度楽にしましょうとお伝えすると、スッとリラックスできる。
どうしてもこわばらせてしまうんですよね…。
と言われていましたが、こういった緊張させる癖(痛みの記憶)があれば、これも腰痛が改善しない原因になる可能性があります。
ここまでお伝えしたように、このクライアントさんの腰痛が出た原因は、
・座っているときにみぞおち辺りを突き出してしまう
・歩くときに肩を引いて、腰を反らせてしまう
・痛みへの恐怖心が残っている
などと考えられました。
クライアントさんの場合は、
・全身の筋肉を緩めて整える
・姿勢や歩き方を改善する
・痛みが出ないことを脳にインプットする
などができれば、今悩まれている腰痛を改善できると考えてさまざまなご指導を行ったんですね。
指導後は完全に痛みが出ないわけではありませんが、1回でも腰痛の程度に変化が出て、安心感を持って帰ることができたそうです。
ここからは、同じように腰痛(椎間板ヘルニア)で悩まれている方も改善が実感できるように、改善方法をお伝えしていきます。
ジムでの筋トレ以外で腰痛(椎間板ヘルニア)を改善する方法①:全身の筋肉を緩める
パーソナルでまず最初に行ったのは、
クライアントさんの全身の筋肉を緩めて整える
ということです。
現場では僕がクライアントさんの全身を緩めていきましたが、もし今腰痛で悩まれている方は、ご自身で全身の筋肉を緩めていきましょう。
全身を緩める内容はYoutubeで紹介しているので、よかったらこちらを実践してみてください。
全身の筋肉を緩める方法
こういった方法で全身を緩めると、腰痛を改善することができます。
クライアントさんの場合、
・腰回り
・腸腰筋(下腹部辺り)
・前もも
などの筋肉が非常に硬くなっており、腰痛で悩む方はこの3ヶ所は非常に硬くなりがちです。
ですので、腰痛をより改善したい方はさらにこの3ヶ所を緩めておきましょう。
1、徐々に両膝を左右に倒す
1、仰向けになり、両膝を立てる
2、踵とお尻をできるだけ近づける
3、この状態で両膝を左右に小さく倒す
4、腰がグッと力まないように、徐々に両膝を倒す
5、これを2~3分行う
2、脚を肩幅で徐々に両膝を左右に倒す
1、仰向けになり、脚を肩幅で両膝を90度に立てる
2、両膝を軽く内側に倒す
3、この状態で両膝を左右に小さく倒す
4、腰がグッと力まないように、徐々に両膝を倒す
5、これを2~3分行う
3、脚を内側に捻って一気に脱力
1、仰向けになり、脚を肩幅で伸ばす
2、両脚を内側に締め、腰あたりを軽く力ませる
3、50%位の力を入れ、5秒間キープする
4、そこから、一気に脱力をする
5、これを10回繰り返す
4、膝を楽に内側で曲げ伸ばし
1、仰向けになり、脚を腰幅に開く
2、片膝を内側から軽く立てる
3、立てた膝を脱力するように伸ばす
4、これを左右各2分間繰り返す
④の動きは特にリラックスして、力まないように行ってください。力んでしまうと腰痛がひどくなるケースがあるので、注意が必要です。
こういった方法で3ヶ所を重点的に緩められると、より腰痛改善が可能です。お風呂上りのタイミングがおすすめですので、ぜひ毎日の習慣にしてみてください。
クライアントさんは、全身の筋肉を緩めた後に立ち上がっていただくと、
全然腰が楽ですね。お腹周りも緩めてたじゃないですか?それがすごく気持ちよくて、スッと立てます。
と言われていました。
僕の技術面に課題が残っているので、技術力が高まればさらに改善を実感していただける状態になると思います。
そして、全身の筋肉を緩めて整えた後は、腰痛の原因を取り除いていきました。
ジムでの筋トレ以外で腰痛(椎間板ヘルニア)を改善する方法②:座り方を改善する
上記でもお伝えした通り、クライアントさんの座り方は、みぞおち辺りを突き出すような姿勢が癖づいていました。
この座り方を改善するために、まずは骨盤を前後に動かして、骨盤の自然な位置を認識していったんですね。
骨盤の位置を修正する
実際にご指導したことは、以下のようなことです。
1、椅子に座り、骨盤を軽く後方に倒す
2、鼠径部にしわを作るように骨盤を立てる
3、この動きをリラックスして繰り返す
4、そして、動作中に最も腹背筋が楽な位置を探る
5、その位置がわかれば、楽な位置で骨盤を止める
こういったことで、骨盤の位置を自然な位置に直しました。
あとはクライアントさんの上半身を僕がぶらぶら揺らし、一番楽に感じる位置を認識してもらったんですね。そうすると、大体こういった力みのない座り方に改善することができました。
楽な座り方からスッと立ち上がる
そして、楽に感じる座り方に改善できたら、そのまま立ち上がっていきました。
手順とすれば、以下の通り。
1、楽に感じる座り方で椅子に座る
2、顔を前に送るようにお辞儀をする
3、頭をスッと引き上げるように立ち上がる
現場ではクライアントさんの頭をサポートしてこの動作を誘導しましたが、立った瞬間に、
身体が軽い。腰に全然負担がないし、とにかく楽。今までめちゃくちゃ力んで立ってました。
と言われていました。
緊張のない状態で立ち上がれると、本当に楽なんですね。今腰痛で悩まれている方は、この感覚で立てることが重要です。
そして、ここまでの流れで痛みなく立てるようになったので、続いては歩き方を改善していきました。
ジムでの筋トレ以外で腰痛(椎間板ヘルニア)を改善する方法③:歩き方を改善する
歩き方の問題点は、
・肩を後方に引きすぎている
・腕を引くように振る
・足元を探るように着地する
・常に恐怖心を持っている
など。
歩き方のご指導をする前に一度、歩き方の違いで腰への負担が変わることを体感していただきました。
肩を引いて腰を反らすような癖があったので、身体の前側で腕組みをして歩いてもらったんですね。具体的な方法は、以下の通りです。
身体の前側で腕組みして歩く
1、身体の前側で腕を組む
2、感覚的には、身体を少し丸める
3、その状態で、普段通りに歩く
この歩き方を実践してもらうと、
えっ、全然腰に負担がない。今まで反ってたってことですか?なんか丸まってません?
と言われていました。
普段感じていた腰への負担も感じなくなり、歩き方のまずさによって腰にかかるストレスが変わることを理解されました。
この歩き方を何度か繰り返していくと、徐々に恐怖心も柔らいでいき、全体的にリラックスしたスムーズな歩き方に変わっていったんですね。
斜め方向に腕を振る
ここから歩き方の改善に入りましたが、まずは楽に腕が振れるように修正しました。
クライアントさんは普段、肩を引いて腕をまっすぐ振ってしまうんですね。
これだと背面にかかるストレスが増すので、まずは腕がスムーズに動くように教育していきました。その手順は、以下の通りです。
1、両手をみぞおち前で合わせる
2、脱力して落とし、振り子のように前後に動かす
3、肩から腕をぶら下げ、気持ちよく動く
現場では僕がクライアントさんの手を持ち、自然な腕の方向をサポートしました。
頭を前にスーッと運ぶ
あとはできるだけ身体をリラックスさせるために、
頭を前にスーッと運ぶイメージで歩く
ということをお伝えし、頭をサポートして歩いてもらいました。イメージとすれば、こんな感じです。
すると、
あぁ~、腰が楽。全然痛みがないし、こんな楽に歩けるんですね。
と言われ、最初に比べるとかなり歩き方もリラックスしてスムーズになりました。
ここまでお伝えした内容を約1時間の中でご指導し、1回のセッションでも変化を実感していただけたというわけです。
ジムでの筋トレ以外で腰痛(椎間板ヘルニア)を改善する方法④:恐怖心を取り除く
ここは今度も課題になってきますし、現場での僕の課題部分でもあります。
それは、
クライアントさんが抱えられている恐怖心を取り除く
ということです。
セッションの中でも常に痛みが出ないことを確認・認識してもらっており、クライアントさんも徐々に恐怖心が和らぎました。
人間が感じる痛みは脳が感じており、この脳に痛みの情報が残っていればうまく痛みの改善ができないことがあります。
これをTMS(緊張性筋炎症候群)といいます。この症状については、以下の記事で詳しく解説しているので、よかったらご覧ください。
2023.05.07
治らない腰痛に悩む方必見!緊張性筋炎症候群(TMS)と痛みの関係
整体や整骨院、マッサージ店などに通っても腰痛が治らない。「自分の腰痛は一生治らないんじゃないか...」と不安にもなりますよね。 本来人間は痛みがない状態が自然ですが、なぜか腰痛が出てしまう。その1つの理由に、緊張性筋炎症候群(TMS)という症状があります。 いわゆる、「思い込みに...
こういった精神的な部分も腰痛改善には重要になるため、痛みが出ない姿勢や歩き方の習得は非常に重要なんですね。
クライアントさんにはこういった流れで現場でご指導し、結果的に改善を実感していただけたということです。
もし今腰痛(椎間板ヘルニア)で悩まれている方は、まずは全身の筋肉を緩めることから実践してほしいと思います。
本当にジムで筋トレが必要?腰痛(椎間板ヘルニア)が改善した4つの方法のまとめ
今回は、本当にジムで筋トレが必要?腰痛(椎間板ヘルニア)が改善した4つの方法について解説しました。今回の内容をまとめると、
・腰痛が出た原因は、日頃の姿勢や歩き方のまずさの可能性
・全身の崩れや歪みが目立った
・強い腰痛が出るのではと、常に恐怖心があった
・改善するためには、まず全身の筋肉を緩めて整えること
・その上で、腰に負担のかからない姿勢や歩き方を習得する
・痛みが出ないことを、脳にインプットさせる
こういった内容をお伝えしました。
今回の内容でもご理解いただける通り、筋トレを全くしていません。もちろん筋力不足が原因であれば、筋トレなどで鍛えることが必要です。
ただ現場で見ていても、ほとんどのケースが「全身の崩れ」「姿勢や歩き方の問題」が原因であり、やるべきことはまず緩めること。
その上で姿勢や歩き方が改善できると、大半の方は現状よりも状態が良くなります。ですので、今同じ悩みを抱えている方は、まずは全身を緩めてみてください。
そうすると、今までと違った成果を実感できるはずです。今回の内容が少しでも腰痛で悩まれる方の参考になれば嬉しく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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