約1年前に不安障害のある30代女性から、
病院から運動や筋トレを勧められましたが、何をしていいのかがわかりません。ぜひお力を貸していただきたいです。
というご相談を受けました。
今回の内容は許可を得て書いていきますが、1年間で状態は良い方向に向かい、今では薬なしで過ごすことができています。
お医者様から筋トレを勧められていましたが、この女性の場合は不安感を増幅させることになり、一時期かなり精神状態が不安定になってしまいました。今も実践していることは、
本当に軽い負荷を使ったトレーニングと有酸素運動など
です。
正直不安感の改善には筋トレを一切しなくてもいいぐらいですが、クライアントさん自身は、
少し頑張りたい気持ちもあるので、全くしないよりは少しだけでもいいのでしたいです。
と言われていたので、今メニューの中に取り入れている感じです。
今不安感で悩まれている方は、
・軽い負荷を使った筋トレなどで筋肉をゆるめる
・有酸素運動をしてANPなどのホルモンを分泌させる
・日光を浴びて、1日の運動時間を増やす
・栄養バランスを整え、量の過不足をなくす
などが症状の改善に役立つはずです。
この記事では、
・メンタルは変わらない?筋トレで不安障害が悪化する原因
・筋トレなどで不安障害を改善する5つの方法
などを、パーソナルトレーナー歴12年の伊藤出(@izuru_style)が解説します。
今回の記事の内容
メンタルは変わらない?筋トレで不安障害が悪化する原因
ご相談を受けた30代女性のカウンセリングを行っていると、以前自己流で筋トレを行った時、不安感が増大したタイミングがあったそうです。
その原因を探っていくと、以下のようなことが考えられました。
・体内の乳酸濃度が高くなった
・ノルアドレナリンの分泌量が増えた
・筋肉が硬くなって、緊張度が増した
・空腹感が増し、食べる量が増えた
それぞれ解説します。
体内の乳酸濃度が高くなった
まず不安感が増す原因として考えられたのは、
筋トレによって、体内の乳酸濃度が高くなった可能性がある
ということです。
クライアントさんが自己流で行っていた筋トレの種目は、
・腕立て伏せ
・腹筋
・スクワット
などで、すべて自重で行っていたんですね。ただその中身に問題があり、かなり追い込むような筋トレ内容になっていました。
筋肉を追い込むような刺激を与えると、体内で乳酸が発生します。この乳酸濃度が高くなると、不安感が増す方がいることが研究からわかっています。
まだ具体的なことは解明されていないそうですが、乳酸濃度が高くなると、
・脳の血管を収縮させる
・脳内が酸素不足の状態になる
・延髄の化学受容体を刺激する
・その結果、不安感やパニックが起こる
と考えられているんですね。
ですので、筋トレで不安障害を改善しようと思って追い込んでしまうと、逆に不安感が増してしまう可能性があります。
ただこれは全員に当てはまることではなく、先天的に「不安障害」「恐怖症」などがある方は、乳酸濃度と比例して不安感が増してしまうことがわかっています。
ノルアドレナリンの分泌量が増えた
続いて考えられたのは、
ノルアドレナリンの分泌量が増えた
ということです。
ノルアドレナリンというのは神経伝達物質の一種ですが、クライアントさんが行ったような筋トレでもノルアドレナリンの分泌量が増加します。
ノルアドレナリンが適正量分泌されると、
・記憶力が向上する
・判断力、集中力を上げる
・抗うつ作用
などがあると言われているんですね。ただ過剰分泌してしまうと、
・不安感が増加する
・恐怖心が強くなる
・焦燥や取り乱す状態が出る
などの変化が出るそうです。
クライアントさんの場合は、筋トレによって不安感が増しているので、ノルアドレナリンの分泌量が増えてしまったことも原因の1つだと考えられました。
筋肉が硬くなって、緊張度が増した
さらに問題だったのが、
筋トレを行ったことで、全身の筋肉が硬くなってしまった
ということです。
ある程度追い込むような筋トレを行うと、翌日などには筋肉が硬くなっています。その筋肉を適切にほぐしたとしても、ある程度弾力が失われてしまう。この筋肉の状態は、不安感が増します。
具体的に言えば、
・筋トレで筋肉が硬くなる
・筋肉の状態が脳にフィードバックされる
・脳が興奮状態になる
・その結果、不安感が増加する
ということが起こる可能性があるんですね。
現場でも数名「不安障害」の方から相談を受けていますが、感覚としても筋肉の硬さと不安感は一定の比例関係にあります。
こういった筋肉が硬いことも、クライアントさんの不安感が増す原因として考えられました。
空腹感が増し、食べる量が増えた
続いて問題だったのが、
筋トレ後の空腹感が増し、食事量が増えた
ということです。
これは僕自身もよく体験したことですが、自分の適正量以上に食事を摂ると、血糖値が急上昇-急降下することがあるんですね。
血糖値が急上昇して、その後急降下する。このタイミングで、
・アドレナリン
・ノルアドレナリン
・ドーパミン
などのカテコールアミンと言われるホルモンの分泌量が増えると言われています。
先ほどもお伝えしたように「ノルアドレナリン」は、不安感を増幅させます。ですので、過食をしてしまったことも不安感が増す原因になっていた可能性がありました。
ここまでお伝えした原因はおそらく一部分で、本来不安感が出る原因はもっと複雑です。ただ現場で考えられたことは、
・体内の乳酸濃度が高くなった
・ノルアドレナリンの分泌量が増えた
・筋肉が硬くなって、緊張度が増した
・空腹感が増し、食べる量が増えた
などであり、これらに対応することで不安感を軽減できるのではないかと考えました。
実際に現場でご指導したことは、冒頭でもお伝えした通り、
・軽い負荷を使った筋トレなどで筋肉をゆるめる
・有酸素運動をしてANPなどのホルモンを分泌させる
・日光を浴びて、1日の運動時間を増やす
・栄養バランスを整え、量の過不足をなくす
などです。
これらを実践することで、筋トレ後に感じていた不安感も軽減しましたし、日常で感じていた不安感もかなり軽減されてきました。
続いては実際に現場でご指導した内容も含めて、同じ悩みを抱える方も改善を実感できるように改善方法をお伝えしていきます。
筋トレなどで不安障害を改善する方法①:全身の筋肉をゆるめる
まず実践してほしいのは、
体操などで、全身の筋肉をゆるめる
ということです。
不安障害になっている方は、運動不足ぎみの方が多いと思います。運動不足になると筋肉も硬くなり、先ほどもお伝えした通り、その硬さが不安感のきっかけになるんですね。
ですので、まずは体操などで身体を動かして筋肉をゆるめて行きましょう。朝日を浴びながら行えばより改善を実感できるので、可能な方は日光を浴びながら行ってみてください。
具体的な方法はYoutubeで紹介しているので、こちらを参考に筋肉をゆるめましょう。
これを朝の習慣にするだけでも症状は改善するので、ぜひ不安感に悩まれる方には続けてほしいですね。
筋トレなどで不安障害を改善する方法②:軽めの負荷で筋トレを行う
続いて現場でもご指導したのは、
軽めの負荷で全身の筋トレを行う
という方法です。
軽めの負荷で筋肉に刺激を加えると、硬い筋肉がかなり緩むんですね。その結果可動域も広がり、不安感の軽減につながりました。
細かく体の動かし方の調整が必要ですが、実際に現場でご指導した方法は以下の通りです。
1、各1kgでダンベルフライ
1、ベンチに仰向けになる
2、肩の真上で1kgのダンベルを持つ
3、真横に軽く肘を曲げ、腕を開いていく
4、胸を気持ちよく伸ばし、腕を閉じる
5、これを20回3セット行う
2、2kgのダンベルでプルオーバー
1、ベンチに仰向けになる
2、目線の上で2kgのダンベルを持つ
3、肘を曲げつつ、地面方向にダンベルを下げる
4、上半身を心地よく伸ばす
5、肘を元に戻しつつ、肘を伸ばす
6、これを20回×3セット行う
3、各1kgでダンベルプレス
1、ベンチに座り、肩の前で1kgのダンベルを持つ
2、身体を真横に倒しつつ、頭上に片腕を上げる
3、体側を心地よく伸ばし、ダンベルを下げる
4、これを交互に20回×3セット行う
4、2kgでローテーション
1、ベンチに座り、脚を肩幅に開く
2、胸の前でダンベルを持ち、片側のお尻に体重を乗せる
3、逆方向へ身体を捻る
4、身体を真ん中に戻し、逆方向へ捻る
5、これを20回×3セット行う
5、自重でディープスクワット
1、足を肩幅に開く
2、つま先も軽く開く
3、体重を足裏全体に乗せておく
4、そこからしゃがみ込み、小さく弾む
5、これを30秒×3セット行う
この他にも現場では実践していますが、すべて心地よく行うことで、
自分でやっていた筋トレは全く違いました。すごく気持ちがいいですし、全部心地いいですね。
と言われていました。これらを実践しても不安感が出ることはなく、すべてのメニューをこなされました。
ですので、もしメンタルの不調改善のために筋トレを行う方は、内容を精査する必要があります。追い込みすぎると逆に不調になるので、かなり注意が必要です。
筋トレなどで不安障害を改善する方法③:有酸素運動の量を増やす
上記でお伝えした方法に慣れたら、
セット間やメニュー間に有酸素運動を行う
ということをご指導しました。
本来であれば有酸素運動の量を増やすことで不安感の軽減ができますが、クライアントさんは筋トレもしたいとおっしゃっていたので、サーキットトレーニングをご提案しました。
ご自身で不安感の軽減を目指す方は、先ほどご紹介した5つの種目の合間に以下の有酸素運動などを挟んで、常に心拍数を上げた状態で行っていきましょう。
1、その場で弾みながら腕を振る
1、脚を肩幅に開く
2、その場で小さく弾む
3、腕を交互に振る
2、その場でジョギングして腕を振る
1、脚を肩幅に開く
2、その場でジョギングを行う
3、腕を交互に振る
3、トランポリンで弾みながら腕を振る
1、トランポリンに乗って、脚を肩幅に開く
2、その場で大きく弾む
3、腕を交互に振る
こういった有酸素運動をセット間に挟んでからは、
やってるときはしんどいですけど、終わった後のスッキリ感がかなりあります。ご指導頂いた後が、一番調子がいいです。
と言われていました。
もし筋トレをしなくてもいい方は、
・有酸素運動を20~30分間以上
・週2~3回以上
行うようにしてみてください。
かなり不安感の軽減を実感できますし、クライアントさんも有酸素運動の時間を伸ばした分だけ不安感の軽減ができました。
ちなみに有酸素運動をして不安感が軽減する理由としては、以下の通りです。
・心拍数が増加する
・心臓からANPというホルモンが分泌される
・別の場所では、GABAも分泌される
・これらのホルモンは、鎮静作用がある
・分泌量が増えると、精神的に落ち着く
・その結果、不安感が軽減する
不安感の軽減には、有酸素運動が大きなカギを握っていると言えます。
日光を浴びて有酸素運動の時間数を増やす
現場では上記でお伝えしたような方法をご指導しましたが、セッション以外では、
・日光を浴びる時間を増やす
・有酸素運動の時間数を増やす
ということもお伝えしていました。
クライアントさんは運動量が増えると不安感も軽減することが実感できたため、スムーズに運動量を増加させることができたんですね。
もし不安感で悩まれている方は、ぜひ日光を浴びながらの運動量を増やしてほしいなと思います。
筋トレなどで不安障害を改善する方法④:食事量を調節する
そしてもう1つご指導したのは、
増えていた食事量を、適量まで減らす
ということです。
食事量に関しては個人によって大きく変わりますが、クライアントさんには筋トレを行う以前の食事量に減らしてもらいました。
ちなみに、僕自身が毎日食べている1食の食事量はこのぐらいです。
今日の昼ごはんは「いわしのハンバーグ」。ご飯も玄米で、おにぎり1個分程度。あとは具だくさん味噌汁と納豆、しらすとサラダ。このぐらいの量を1日3食程度。あとは間食なし。運動は、1日約3時間。それでほぼ体重を維持。みなさん、食べ過ぎてないですか?#お昼ご飯 pic.twitter.com/5fKY2yIlYc
— 伊藤 出@ゆるゆるトレーナー (@izuru_style) September 12, 2023
今日のお昼ご飯は、さばの南蛮漬け。さばは「EPA」「DHA」「ビタミンD」などが豊富。頭の働きが良くなるし、精神的にも落ち着くのでおすすめ。#お昼ごはん pic.twitter.com/mX59IWxqLs
— 伊藤 出@ゆるゆるトレーナー (@izuru_style) September 13, 2023
クライアントさんはこれよりも少ない量まで減らし、その結果不安感の軽減ができました。
ここまでお伝えした一連の流れができると、クライアントさん同様不安感に変化が見られるはずです。
もちろん個人によって反応が異なるので、本来は1人1人にあったメニューをご提案すべきだと思います。ただ、少なからずみなさんにも好影響が出ると思うので、ぜひ参考にしていただければと思います。
クライアントさんはこういった内容をご指導して、今では薬を飲まなくても精神的に安定して過ごせるようになりました。
メンタルは変わらない?筋トレで不安障害が悪化する原因と4つの改善方法のまとめ
今回は、メンタルは変わらない?筋トレで不安障害が悪化する原因と4つの改善方法について解説しました。今回の内容をまとめると、
・筋トレをすると、不安感が増す可能性がある
・不安感は、乳酸・ノルアドレナリンと密接な関係がある
・筋肉が硬くなっても、不安感が増す可能性
・不安感の軽減には、まず筋肉をゆるめること
・有酸素運動でANPなどのホルモンを分泌する
・食事量を減らし、食べ過ぎをやめる
・これらのことができると、不安感は軽減する
こういった内容をお伝えしました。
僕も約2年間ほど、不安感に悩まされた時期がありました。精神的な不調は、あまり理解されづらいですし、辛さの程度もわかりづらい。だからこそ、他人に理解もされづらい。
一番ご本人が辛いししんどいと思いますが、適切なことができると薬がなくても改善方向に向かう可能性があります。
ですので、焦らず諦めず、新しい習慣を身につけていってほしいなと思います。今回は以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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