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靱帯などの組織に問題がないけど、投げると肩肘が痛む。この場合、ほとんどのケースで「投げ方のまずさ」が痛みに直結している可能性が高いんですね。

投げ方に問題がある場合、インナーマッスルのトレーニングやストレッチをしても、思ったように肩肘の痛みは改善しません。

投げなければ痛みは引きますが、投げるとまた痛む。もしこういう悩みを抱えている方は、投げ方そのものを変えることで肩肘の痛みが改善します。

この記事では、

・投げ方で肩・肘を痛める原因
・肩・肘が痛くならない投げ方を習得する4ステップ

などを、パーソナルトレーナー歴12年の伊藤出(@izuru_style)が解説します

 

投げ方で肩・肘を痛める原因

ボールを投げて肩肘が痛くなる原因は、

・投げ方
・オーバーユーズ
・コンディショニング

などが考えられます。ただ、現場で相談を受けるほとんどのケースで「投げ方」そのもののまずさが多いんですね。

肩肘を痛めている方は、以下のような投げ方をしていませんか?

ボールを前で離そうとする

よく現場でも見られるのが、

ボールを前で離そうと意識している

ということ。

自然な投球動作ができると、0ポジションでボールがリリースされるんですね。

0ポジションでボールをリリース

0ポジションでボールをリリース

ただ何かしらの原因でこのリリースポイントが手前になっている場合、監督やコーチから、

https://izuru-personal.com/wp-content/themes/drop_tcd087/img/common/no_avatar.png
指導者

もっとボールを前で離せ!

という指導を受けることがあるはず。

自然な状態でボールがリリースできると、

・ボールをリリース
・腕が内側に捻られつつ、肘が曲がる
・腕が身体に巻きついて減速される

という動作になるのが自然。

ボールをリリース

肘が曲がりつつ、腕が内側に捻られる

腕が身体に巻きついて減速される

こういう動作ができると、過度に肩肘が伸ばされたりしませんが、ボールを前で離そうとすると2つの問題点が出てくるんですね。

1つ目が、

肩の後方が過度に伸ばされ、大きなストレスがかかる

ということ。

自然な動作ができると、ボールをリリースした後に腕は身体に巻きつくため、肩の後方が過度に伸ばされることはありません。

フォロースルーで止める

ボールを前で離そうと意識していると、ボールをリリースした後に腕が巻き込まれず、前方に伸ばされる動きになるんですね。

腕が前方に引っ張られた状態

こういう刺激は肩の後方に大きなストレスがかかり、投球数が増えれば増えるほど肩の後方に痛みが出る可能性が高くなってしまう。

2つ目の問題は、

肘が完全に伸び切って、肘に大きなストレスがかかる

ということ。

自然な投球動作では、肘は若干曲がった状態でリリースからフォロースルー迎えるんですね。

若干肘が曲がった状態でリリース

ただボールを前で離す意識を持っていると、ボールをリリースする瞬間に肘が一瞬グッと伸ばされる。

リリースの瞬間に若干肘が伸び切る

こういう動作を繰り返してしまうと、肘で炎症が起こって痛みが発生してしまう。

よく現場でも言われる「ボールを前で離せ」という意識は、実は肩肘を痛めやすい動作の1つなんですね。

ボールを指で切っている

続いては、

ボールを指で切っている

ということ。

本来ボールを切るイメージを持たなくても、自然な動作ができるとボールを切っているような感覚になる。ですので、意識的にあまりしなくてもいいんですね。

それを意識的に行うと…

ボールを切って肘を完全に伸ばす

このように、肘が完全に伸び切ってしまう瞬間ができてしまう。そうすると、上記でお伝えしたような肘の炎症が起こるわけです。

捕手方向を見続けている

続いての原因は、

ボールを投げた後に、キャッチャーを見続けている

ということ。

頸反射といって、人間は投球時に見ている方向に腕が伸びやすくなるんですね。

もし投球後、キャッチャーを見続けていると、その方向に腕が伸びてしまう。

リリース後キャッチャー方向を見続ける

そうすると、身体に腕が巻き込まれず、前方方向に引っ張られます。

前方方向に腕が引っ張られる

このとき肩の後方が過度に伸ばされ、強いストレスがかかることで痛みが出てしまう。

腕が前に伸ばされて肩の後方が痛む

投球時にどこを見ているかも、肩肘の痛みにつながる可能性があるんですね。

膝を曲げすぎ

もう1つ投げ方で原因のなるのは、

膝を深く曲げすぎている

ということ。

膝を深く曲げていると地面と平行に身体が移動し、ボールをリリースした後に腕が身体へ巻きついてこなくなるんですね。

腕が身体にまきつかない

そうすると、肩の後方が過度に引っ張られて痛んでしまう。

投手の場合は、本当に軽く曲がる程度で十分。

軽く膝が曲がったセット

ここはフォーリングで決めますが、膝を深く曲げるのはケガや打たれるリスクが高い。

このように、投げ方そのものに問題があって肩肘を痛めるケースがほとんど。

他の原因としては、

・肩の柔軟性の低下
・投げすぎ
・コンディショニング不足

などがありますが、おそらく投げ方そのものを自然に直せば今抱える肩肘の痛みが改善するはず。

では具体的に、どのように肩肘の痛みを改善すればいいのでしょうか?

 

肩・肘が痛くならない投げ方の習得方法①:肩の柔軟性を改善する

まず最初に行ってほしいのは、

肩周りの筋肉を緩めて、柔軟性を改善する

ということ。

そうすると、後ほど行う動作をよりスムーズに行うことができるんですね。

まずは、以下の4つを実践して肩周りを緩めましょう。

①腕を前後に動かす

1、立った状態で、肘を90度に曲げる
2、手のひらを天井に向け、腕をみぞおち前に伸ばす
3、伸ばした腕を、肘を曲げながら後方に引く
4、これを30回繰り返す

②腕を捻りながら肩甲骨を動かす

1、胸にしわをよせ、身体を少し丸める
2、このとき、腕を内側に捻る
3、胸を突き出し、腕を外側へ捻る
4、この動きを交互に30回繰り返す

③腕を上下に動かす

1、耳の高さで棒を持つようなイメージで腕を構える
2、肩よりも腕を下げ、上下に大きく動かす
3、これを50回行う

④腕を身体の前側で回す

1、脚を肩幅に開き、肩から腕をぶら下げる
2、膝を軽く屈伸させ、身体の前で腕を回す
3、これを同じ方向へ20回、逆回しを20回行う

これで肩周りの柔軟性がある程度改善できたので、次は投げ方そのものをスムーズに改善していきます。

 

肩・肘が痛くならない投げ方の習得方法②:投球動作を改善する

自然な投球動作をインプットするためには、以下の4つのステップで投げ方を改善していきましょう。

①身体の前で腕を内側に回す

1、脚を肩幅に開き、肩から腕をぶら下げる
2、膝を軽く屈伸させ、身体の前で腕を内側に回す
3、スムーズに回るまで行う

②頭の後ろに拳を落とす

1、脚を肩幅に開き、肩から腕をぶら下げる
2、膝を軽く屈伸させ、身体の前で腕を内側に回す
3、3回回し、体重移動しながら頭の後ろに手を落とす
4、これを10回ほど繰り返す

③頭の後ろに拳を落とした状態から一本背負い

1、頭の後ろに手を落とし、その状態でリラックスする
2、体重移動しながら、一本背負いをする
3、腕はリラックスしておき、身体に腕を巻きつける
4、これを20回行う

④スムーズな投球動作をインプットする

1、投手のように立ち、身体の前側で投球腕を3回回す
2、体重移動し、手を頭の後ろに落とす
3、一本背負いをするように身体を縦に折る
4、腕はリラックスさせ、自然に身体に巻き付ける
5、これを20回行う

この流れが適切にできるとスムーズな投球動作がインプットでき、肩・肘が痛くならない投げ方の完成です。

いきなり腕を早く振ってしまうと動きが不自然になるため、

・気持ちよく感じる動作スピードで行う
・常にリラックスして行う
・時間をかけて徐々にスピードを上げる

ということができれば、今悩む肩肘の痛みを改善することが可能です。

ぜひ1つ1つの動作をリラックスして行ってみてくださいね。

 

肩・肘が痛くならない投げ方を習得する4つのステップのまとめ

今回は、肩・肘が痛くならない投げ方を習得する4つのステップなどを解説しました。

・肩・肘を痛める原因は、主に投げ方が問題
・ボールを前で離すなどの意識を持てば、肩や肘を痛める可能性
・肩・肘を痛めない投げ方のポイントは、腕がスムーズに動くこと
・そのためには、4ステップをリラックスしてこなすこと
・身体に腕が巻き付くようなフォロースルーができると、肩や肘への負担は軽減する

肩肘を痛めてしまうと、大好きな野球を思いっきりできないのでもどかしいですよね。特にライバルが活躍しているとなれば…焦ってくる。

どこへ行っても肩肘の痛みが改善しない場合、投げ方が自然になれば改善可能。スムーズな動作が習得できると、気持ちよく投げているのにパフォーマンスも上がる。

不思議な感覚になるので、ぜひその感覚を味わってほしいですね。疲れにくくもなるし、いいこと尽くし。今回の内容が少しでも痛みの改善に役立てれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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