パーソナルトレーナーとして23歳で独立し、2023年9月1日で13年目を迎えました。これまでいろんなことがあり、まさか自分がここまでやってこれると思っていませんでした。
今でも忘れられず、鮮明に覚えていることがあります。それが、
クライアントさんが、セッション途中で怒って帰る
という出来事。
完全な僕のミスであり、力不足が原因。あのときの辛さ・ショックがあるからこそ、今の自分がいるとも感じています。
この記事では、
・独立1年目に経験したこと
・現在パーソナルトレーナーとして大切にしていること
などを、パーソナルトレーナー歴12年の伊藤出(@izuru_style)がお伝えします。
今回の記事の内容
わりと順調だった野球人生
僕は小学2年生の頃、野球を始めました。「帰ってこない…。5歳のときに家出した母親の話」でおかんの話をしていますが、僕が5歳の頃におかんが家出をして家にいなかったんですね。
兄弟4人と親父と毎日を過ごし、わりといろんな経験をしてきました。少しTwitterでも呟いたので、興味がある方は覗いてみてください。
①僕が5歳のとき、おかんが家出。ちょくちょく実家に帰ってはくるものの、ほぼ家にいない生活がスタート。小学1年生で「掃除」「洗濯」「料理」などは自分で行い、4人兄弟の末っ子だったので、姉たちにも支えてもらいながら毎日なんとかやり過ごす。
— 伊藤 出@ゆるゆるトレーナー (@izuru_style) September 30, 2023
家庭環境はいろいろあったものの、野球人としてはわりと幸せな時間を過ごせたんじゃないかと思います。
この幸せな時間が、後にパーソナルトレーナーとして自分を苦しめることになります。
よく目立った少年野球時代
小学2年生で少年野球に入部する前、よく自宅前などで壁当てをしていたんですね。本当に野球が大好きで、入部してからは順調に上達していきました。
特に守備と走塁が良く、他校に試合に行けば、
脚速いし、すごくうまいねぇ。うちにほしいぐらい。頑張ってね。
とよく声をかけてもらいました。今思うと、野球人生で一番輝いていた時期だったのかもしれません。
バッティングに課題はあったものの、それでも守備と走塁でリーグでも話題になるぐらいの選手だったと後に監督から言われました。
軟式野球の強豪になった中学時代
中学時代は烏帽子中学という神戸の中学校に入学し、学校の軟式野球部に入部。
僕が入学した頃は弱小チームだったのに、中学2年生の秋から強くなって神戸市でも優勝し、兵庫県でもベスト8を争うぐらいのチームになりました。
このチームでは人生初の主将になり、チームを引っ張っていきました。ここでも割と順調な2年半の野球人生を過ごすことになります。
古豪に入学した高校時代
中学3年生時、高校野球部の監督からの誘いもあり、市立神港(現神港橘)の野球部に進路を絞って受験。合格の後、野球部に入部。
上下関係の厳しさに途中で逃げ出しそうになるものの、何とか野球を続けました。高校2年生の秋から再度主将になり、
・2年生の冬までの成績でチームの首位打者
・盗塁数トップ
・エラー数0個
など、わりといい成績を収めていました。
そして最後の大会に敗れ、野球を引退。野球人生としては、まずまずな時間を過ごせたんじゃないかなと思っています。
板前を辞めて、トレーナーの道に
高校卒業後は、最初は板前になりました。ただ、夜の世界が性に合わず、約1年半で退職。その後紆余曲折ありつつ、21歳でトレーナーの世界にどっぷりつかります。
芦屋の女性専門のサロンでトレーナーとして働き、独学などでトレーナーに必要な知識・技術を学びました。
そして23歳で独立し、今に至るというわけです。野球を始めてから割と順調に進み、
・野球ではほぼレギュラー
・成績もそこそこ残せた
・板前としてもすぐに現場で仕事を教われた
・サロンに入社後、1年でマネージャーに
といった感じの人生だったんですね。ただ問題は独立後。大きな挫折を経験していなかったので、独立してから大きな壁にぶち当たることになりました。
勢いで独立した23歳のパーソナルトレーナー
23歳で独立を決意しましたが、当時は漠然とした自信があり、完全に勢いで独立。最初は住んでいるマンションでセッションをはじめました。
独立して3ヶ月間は夜中にコンビニバイトをしていましたが、4ヶ月目からはパーソナルトレーナーとしての仕事が増えてコンビニを辞めています。
「結構いけるんじゃない?」という過信
独立前後では知り合いなどから、
・失敗するからやめた方がいい
・若いし、もっと経験を積んだ方がいい
・まぁ…頑張ってね。
とあまり肯定的な意見は聞かれない中でのスタートでしたが、3ヶ月間も経てば月間のセッション数も100本を超え、順調なスタートを切ることができました。
ただそこで生まれたのが「過信」です。
もしかして、結構自分はイケてるんじゃない?
今考えると末恐ろしい思考が脳内に充満しており、所々でボロが出始めていました。
そんなある日、1人の女性からパーソナルトレーニングの依頼を受けます。
ご連絡を頂いた40代のお客様
依頼を受けたのは、以前働いていたサロンに来られていたお客様。下半身太りに悩まれており、個別にご相談を受けました。
サロン時代は会社に守られていましたが、独立すれば評価はすべて自分。カウンセリングを行い、セッションを10回前後実施。
セッションの回数を重ねても、思ったような成果が出ず、内心かなり焦ってきました。そんなタイミングで、40代女性のクライアントさんから、
ねぇ、脚はいつ変わるん?全然成果出ないですね。続けていても変わらないから、もういいです!
とセッション途中に言われて帰ってしまいました。
自分の中ではあまりに衝撃的で、しばらくその場に立ち尽くしてしまいました。ここまで強く言われた経験もなかったですし、何より直接「お前は能力がない!」と言われたのは初めてだったので、大きなショックを受けたのを覚えています。
このショックの大きさは、野球で良い経験をしていたからこそ落差が激しかった感覚もありました。
しばらく続いたセッション恐怖症
この経験から数年間は常に、
自分はこの仕事に向いてない…やめた方がいいのでは…
という葛藤がありました。
セッションで指導をするたびに怖さがあり、何か言い返されるのではという恐怖心が付きまとうようになったんですね。ただ、すべては自分が悪い。そんな冷静な自分もどこかにいました。
でも悪いことばかりではありません。僕が行うセッションや身体調整で、
・身体が変わってきた、本当にありがとう
・身体調整が気持ちいいし、出さんじゃないと続いてない
・話しやすいし、ここだから続く
といった声もいただき、常に恐怖心と嬉しさが入り混じった中で2~3年間走り続けていたと思います。
経験から学んだ大切なこと
こういった経験から学んだことは、
・わかっているつもりになると、どこかでつまずく
・常に確認をすること
・自分を疑い、反省し、改善すること
・今が最善ではない、もっと良くなる方法がある
などのことです。
少し話がそれますが、小学生の頃に感じていた運動場の大きさは、大人になると小さく感じた経験ってありませんか?
それだけ人間の記憶は曖昧で不確か。だからこそ、どれだけ学んでも、どれだけ経験を積んでも、思い込みをしていないか確認が必要だということ。この必要性を強く感じています。
独立をした12年間で、
・クライアントさんが怒って帰ってしまう
・成果が出ないことに激怒される
などを経験しましたが、結局はすべてが自分の実力。
自分の能力や人間性が高くなれば、ほとんどが改善できる。そう知ってからは、仕事に向き合う姿勢が徐々に変わっていきました。
独立1年目に経験した苦い思い出は、今の自分にとっては貴重な時間でした。今になって思うのは、素直な感想を言っていただいたクライアントさんには感謝と申し訳ない気持ちしかありません。
現在パーソナルトレーナーとして大切にしていること
いろんな経験をする中で、今現在パーソナルトレーナーとして大切にしていることは以下の通りです。
・常に自分を信じて疑う
・今が最高じゃない。伸びしろは必ずある
・自分を疑い、反省し、改善すること
・自分の本質が現状を作る
・どこまでいっても感謝
これら以外にも大切にしていることはありますが、ひとまずこれらについて解説しますね。
常に自分を信じて疑う
これまでいろんな苦い、そして辛い経験を通して大切にしているのは、
常に自分を信じて疑う
ということです。
周りからいろんなことを言われると、すべてを聞きがちになる癖があるんですね。でもすべてを聞き入れてしまっていると、どうしても右往左往してしまう。
これでは軸がないので、自分が大事にしている価値観を信じつつ、物事の方向性を決める。ただ、過信してしまうと過ちを見落とすので、どこかで客観視して自分を疑う。
もっとシンプルに言えば、物事の表も裏も50:50で見るということを心がけています。頭を柔軟に物事を見れると、いろんな発見があり、適切な判断ができると感じているんですね。
今が最高じゃない。伸びしろは必ずある
10年以上パーソナルトレーナーをしていると、何をしてもうまくいく時期もありました。
ただそういうタイミングの後には、必ずどこかで落とし穴が待っている。そんな経験を通して感じたのは、
今が最高じゃない。必ず伸びしろがある
ということ。
「うまくいっている」と思っているときほど、後から「そうでもなかった」と感じます。逆に「もっとやらないと…」と思っているときほど、「あのときはかなり成果が出ていた」ということが多くありました。
だからこそ、最高だと感じているときほどまだ先があって、伸びしろがある。その伸びしろを探していないだけだから、それを探せばまだまだ成長できる。
この思考は、12年間パーソナルトレーナーをしてきた今でも役立っています。
自分を疑い、反省し、改善すること
これも先ほどの2つと似ていますが、
自分を疑い、反省し、改善すること
が成長するためには欠かせないと実感しています。
今でも毎日「反省・改善日記」をつけていますが、毎セッションごとに何かしらの反省・改善点が出てきます。逆にそれらがみつからないのは、発見できていないだけ。
常に反省するだけでは成長しないので、改善点をみつけて実行する。この流れは、どんな場面でも自分が成長するためには必須になるように感じます。
自分の本質が現状を作る
パーソナルトレーナーとして経験を積む中で、
ごまかすことはできない。自分の本質が現状を作る
ということを、身をもって体感しています。これは内面の問題で、それだけ取り繕ってもいつかはバレてしまうということ。
だからこそ、本当に信頼していただくためには自分の中身を磨くしかない。いろんな出来事を通して、そう実感されたことは数多くあります。
・見えないところを掃除する
・面倒だと思うことをやり切る
・ごまかさず、言い訳をしない
・自分と素直に向き合う
・人間性を磨く努力をし続ける
できていない部分も多くありますが、トレーナーとは別の部分で、人として常に成長していきたいと思います。
どこまでいっても感謝
20代では、自分1人の力でやってきたと思うことが多々ありました。
だけど30代に入り、体調を大きく崩したことがあったんですね。このタイミングで、自分はどれだけ多くの方に支えられているかと実感しました。
・妻や子供、家族
・クライアントさん
・大家さん
・友人、知人
など、いろんな方に支えられての現状があります。
これを忘れた瞬間に、人として何か乏しさが出るというか、温かみを失う感じがします。だからこそ、常にいろんなヒト・モノ・コトなどに感謝をする。
そうすれば謙虚になれるし、成長できるような気がしています。ここまでお伝えした、
・常に自分を信じて疑う
・今が最高じゃない。伸びしろは必ずある
・自分を疑い、反省し、改善すること
・自分の本質が現状を作る
・どこまでいっても感謝
こういった価値観を大事にできるようになったのは、すべて20代のときセッション中にクライアントさんに帰られてしまった苦い経験があるからです。
表面的には何の苦労もなさそうな方でも、実は大きな苦労や挫折があることがある。今悩んでいる方もいると思います。
今大変な想いをされていたとしても、必ず自分次第で明るい未来が待っています。僕も同じ経験をしたからこそ、素直に思うんですね。だからこそ、もう少し頑張ってみるのもありかもしれません。
今回の内容が、何か少しでも伝わる内容であれば嬉しく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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